人生には平穏な季節がある。
幾つの時にやってくるのか
どれくらいの期間やってくるのか
それは人それぞれではあるけれど
心の穏やかな数年というのがあるもんだ。
僕の場合
それは40台で現われた
仕事は忙しいながらも充実し
上司とも部下とも連携が上手く行き
仕事がとても楽しく乗っていた季節。
そんな季節は余暇も充実する。
毎週週末は車を走らせ堺の外れにあるハーベストの丘へ
念願の陶芸教室に通うことが出来た。
このあと、うた三線をはじめることになるのだが
その頃からは平穏な季節は終わりを告げようとする。
上司の入院、
一から育て上げた弟子のような部下の他社への引き抜きから
週末に陶芸をする時間も心の余裕もなくなり
泣く泣く中断。
それが2007年の夏だった。
ちなみに落ち着いたら再開する予定の陶芸だが
その後
上司が病死
突然のオーナーの会社売却
印刷会社の子会社化
大得意先の随契取りやめ
そして新しい親会社の理不尽な介入
などなど
自分の置かれる立場は急変し
ご存知の通り退職
今に至るわけだ。
いつか又土をいじりたいな、と心の端っこで思っていても
なかなか再開出来ずに
零細自営業者はため息をつく。
ときおり店に
ハーベストの丘里山陶芸の先生でもあるメインスタッフの方が
やって来てくれる。
顔を見ると
陶芸したいなと思う。
また近所にある和食料理屋「京」の大将も陶芸が好きで
たまに信楽まで行くんですと聞くと
再開したくなる。
が、しかし週に一度の休みしかなく
心もお金も余裕のない居酒屋の親父
なかなか行けないなぁとまた嘆息。
でもグジグジ言ってても仕方がない。
月曜に振り替え休日を取った今日
早起きしてハーベストの丘に向かった。
日本中が記録的な暑さをマークした日に
駐車場からいちばん奥の里山陶芸工房まで歩く。
けっこう長い道のりで木陰がないからひたすら暑い。
野外ステージを右手に見て
観覧車を通り過ぎると懐かしい風景が広がる
懐かしい!
なんか涙出そう!
登り窯も6年前と同じく佇んでいる。
作ったものはカードホルダー
知人から頂いたブタのカードホルダーは
テーブルから落とされたりで欠けたり痛んだりで
満身創痍。
新しいカードホルダーが欲しかったところだった。
土をいじる
菊練りなんて無茶苦茶になって
紐を作るのだって
ブランクが長過ぎて勘が戻らない。
また一から下手糞でいい。
毎週なんて夢のまた夢
毎月も無理だろう
季節に一度だけでもいいから
この場所で
のんびりゆっくり陶芸を又始めてみようと
思った一日でした。